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ことによって、航行に必要かつ十分な視界情報を提供することが可能となる。
(7)交通環境制御部
他船航行の設定及び実行時の制御を行う部分である。256以上の他船のシナリオを設定することが可能であり、同時に30隻の他船船速、他船針路の任意な時点での変更ができる。この機能により現実と同等の交通環境を再現するとともに実験目的に対応する交通環境を実現することが可能となる。
(8)曳船制御部
船橋からの指示により曳船を任意の位置及び状態に設定する部分である。曳船は最大12隻まで設定可能であり、船橋からのトランシーバによる指示によって、曳船推力の大きさ及び方向を任意に設定することができる。
(9)音響発生部
船橋における環境音である主機関音、風きり音、自船及び他船の音響信号等を生成する。
(10)データ記録・解析部
評価に必要な自船及び他船の運動状態等のデータを計算機によって記録及び解析・評価を行う部分である。時々刻々の自船データ及び他船データを計算機の記憶装置へセーブする。
5.5.3 操船シミュレータ改造の要点
自動運航システムの評価を行うためには、次に示す操船環境の再現が必要である。
?開発された自動運航システムが操船システムの一部として編入され、操船者と一体となった操船環境の再現
?現実の港湾等の自然環境、海上交通環境の再現
?実船相当の視界情報の再現
?実船相当の操船環境(航海計器、運動制御装置)の再現
?正確な船体運動の再現以上の点を踏まえて実験の目的に適した仕様及び機能とするために行ったシステムの改造について説明する。
(1)各サブシステム間のネットワーク構築
自船の船体運動に関する情報や他船の行動に関する情報を操船シミュレータから自動運航システムとトランスポンダヘ送信する必要がある。また、自動運航システムから操船シミュレータヘ自船の制御量を送信する必要がある。そのために、各システムの計算機をLANにより接続し、通信ソフトウェアを作成することにより、実験時のデータ送受信を可能とした。
(2)画像データベース作成
実験対象海域の視界情報として航行環境を提供するために、以下の画像データベースを作成した。
なお、画像データベースは昼間用と夜間用の2種類を作成した。
模擬海域の画像データベースは電子チャートに対応した位置精度の高いデータである。自船画像及び他船画像はテクスチャを使用することにより臨場感の高い画像となっている。また、夜間の灯台やブイの灯質は現実と同等に再現されている。
?模擬海域……東京湾入口付近及び瀬戸内海備讃瀬戸周辺海域の地形及び航行援助施設である灯台、ブイ等
?自船画像……対象船であるVLCCの船首画像及び船尾画像
?他船画像……客船、自動車専用船、コンテナ船、漁船等の種々な船型の航行船
(3)レーダシステムの改良
模擬海域の地形及び他船をレーダ画像上に表示するために、地形及び他船データを作成した。
(4)高精度な運動モデルの導入
自船の操縦運動は実験結果に直接的に影響を及ぼすために、実船と同等の操縦運動を再現する必要がある。そ

 

 

 

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